苦痛を苦痛と感じない、暴力や殺人にためらいのない、ボーダーを超えた人たちの、自分や同類との対峙。
ルポライターの仙元は、部下の南田と大学教授のスキャンダルについて追っていた。しかし、記事になる直前で、元妻が息子に金属バットで殴られたという知らせを知り、息子を引き取り、取材から降りる。スクープを手にした南田は、その勢いで渋谷を中心に不良に制裁を加える自警団、シティーガードの取材をスタートする。そのリーダー三枝のもつ過去とは。
視点が5つほどあり、空行や章代わりが来ると、ほぼ確実に別の視点になるのだが、主語がしばらく書かれないため最初は相当戸惑う文章である。後半になってくると慣れるし、そもそも文章自体は理解できるので、章代わりの苦痛は最初だけであろう。
ただ、内容というか人物の苦悩やその原因に対する考察がかなり浅い。悩みのタネや面倒な事項が相当有り、そこから抑鬱した怒りや逡巡があって当然だと思うのだが、それもなく、突然行方不明になって、ぶっちゃけ殺されているわけだ。その最たるものがスーパーマン的な精神科医だろう。
後半になると、暴力イコール殺人というような安易な展開になってきて、読んでいる方は登場人物を考えなくて良くなるわけだが、浅いなあ。
漫画やVシネマ向きで、怒鳴り声と殴られる音、血が飛び散るようなやっすいドラマの原作という感じ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ドラマ
- 感想投稿日 : 2018年9月22日
- 読了日 : 2018年9月22日
- 本棚登録日 : 2018年9月21日
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