多数巻を平行に読むシリーズ。大御所の代表作なんだけど、ちゃんと読んだことはなかったんだよね。「首都消失」を上下で読みはしたけど、なんかパッとしなかったので、ずっと避けてきた。
地震が多発する197X年の日本。島が沈んだことを調べるために海底の探査中に、1日に200mもの沈下が観測される。一方で、京都(関西)でマグニチュード8強の地震に続き、東京でも大地震に見舞われ、一度に200万人以上が死亡。田所博士の言うように、日本は海に沈んでしまうのか…。
イントロ部分に阪神大震災の引用があるため、オリジナルに加筆修正がなされている可能性のある版ではあるが、1960年代に構想して、70年代の前半に描かれたものであり、今では知っていて当然のような知識も、おそらく当時ははじめての人向けに詳しく描かれているのが印象的だ。「エレクトロルミネッセンス表示」なんて、当時からあったんですかね?
また、映画の方はどういう解釈になっているのかわからないが、普通の作家だと「日本が沈む。謎の現象だ」で済ませてしまうところ、まずメカニズムありきで描いているのが印象的である。また、メカニカルな部分だけではなく、統計から未来を予想するというような手法を持ってきているのは、なかなか印象的である。
一方でちゃんと読みやすくするために、地震などの現場には主人公クラスがきちんと居合わせるようになっており、それもいい加減にたまたまというわけではなく、人に会ったりという形でストーリーを広げる一環というところも、よく練られている。若干こちらの描写は少ないけれども。
日本が沈んでパニックになる、それだけなら1冊で済みそうなものだけど、なんで上下巻なのかというのは、海底の運動メカニズムを事細かに描いているからであることはわかった。
- 感想投稿日 : 2018年5月15日
- 読了日 : 2018年5月14日
- 本棚登録日 : 2018年5月14日
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