聖の青春 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2015年6月20日発売)
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名人になる夢を追いかけ闘い続けながら、29年という短い生涯を駆け抜けた天才棋士村山聖の歩んだ道を描いたノンフィクションです。
勝負とは殺すか殺されるか、そんな世界で彼は命がけの将棋を指してきました。酒を飲んでは酔いつぶれ、ときに癇癪をおこして母親には辛くあたり、風呂にも入らずマンガと推理小説とゴミに囲まれたアパートの狭い一室のなかで彼は生きていました。
そんな人間臭いところも全部含めて、強く優しく愛嬌がある彼を家族、師匠、友人、ライバルたちみんなが愛していました。その深い愛情に涙がとまりませんでした。

彼の悲鳴をあげる身体が心が訴えてくるのです。
死の気配がせまってくる自分には時間がないのだと。
何度も夢は近づいては遠ざかっていきます。そんな希望と絶望を繰り返しながらも腐ることなく最期まで勝負の世界で生きた青年の記録は胸に深く深く刻みこまれました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 伝記・ノンフィクション・対談集
感想投稿日 : 2016年6月23日
読了日 : 2016年6月23日
本棚登録日 : 2016年6月23日

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