『園芸少年』には、3人の男の子が登場する。
それぞれに悩みもあって、強くもなくて、戦いもないしライバルと争うこともない。
彼らにとって普通の日常を過ごしている。
ただ、彼らの生きている世界は息苦しい。
とまったままの時間や、もどかしい季節のなかでそこに漂う薄い空気が当たりまえだとでもいうかのように、もがきもせず、それ以上を望むこともなく呼吸する。
でも、大部分のひとたちはそうだと思う。
ただ気づいていないだけ。
恵まれた太陽燦々輝く世界の住人たちには、息苦しくて懸命に空気を吸い込まないと耐えられない世界かもしれないけれど。
そんな彼ら3人が偶然にも出会って、草花を育てる園芸部で活動する。
いつの間にか、となりに友だちがいた。
いつの間にか、壁を乗り越えられた自分がいた。
そう、彼らには「いつの間にか」が、よく似合う。
殺伐とした風景のなかで、青々と育っていく草花が、勢いよく光合成を作り出す。
いつの間にか、彼らの世界がキレイな酸素でいっぱいになっていた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本児童文学・絵本:リアリズム
- 感想投稿日 : 2014年8月18日
- 読了日 : 2014年8月18日
- 本棚登録日 : 2014年8月16日
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