二十歳の原点 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 281
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大人となった私たちには二十歳の頃がありました。
それはひとつとて同じ二十歳ではありません。
彼女の二十歳は彼女だけのもので、彼女だからこその二十歳の記録でした。
こんなふうに自分の思いを文章で書けるなんて素晴らしいです。素直でお茶目な女子大生の日記は、いつしか自分の内面を深く深く掘り下げて、未熟さ、孤独、醜さ、弱さにこそ、ぐいぐい突っ込んでいき痛みつけては真っ赤な血を流す、私の中でそんな印象に変わっていきました。それでも彼女の文章には最期まで崇高なものがありました。
眼鏡をかけ京都の街並みを自転車で走り回っていた彼女は、半年後には自らの命を絶ってしまいました。
感想を書きたいのに、どう書いていいのか分からない、たぶん私の心の中で昇華させていく、そういう本なんだと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本:書簡・日記
感想投稿日 : 2016年11月29日
読了日 : 2016年11月29日
本棚登録日 : 2016年11月29日

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