1970年代。昭和48年早春「私の部屋」第五号から掲載されていたエッセイをまとめたもの。
今から40年以上の年月がたっているのだけれど、熊井明子さんの語られる言葉はぜんぜん色褪せてなくて今の時代に生きているわたしにも共感できる話がいっぱいあった。仕事や恋愛(不倫の愛もふくめて・・・)結婚、夢将来への不安、希望・・・その頃の女性の悩みや価値観は今とほとんど変わってなくて、正直びっくりした。40年という時の流れは長いようでいて、女性が活き活きと輝けるようになるにはまだまだ足りないようだ。
熊井さんのエッセイを読んでから、大正昭和時代の女流作家の随筆に興味を覚えた。読んでみよう。この時代の女性たちの文章には、たくましさ、賢さ、雅さ、またユーモアやセンスがあって伸びやか・・・そんなイメージがあるので楽しみだ。
今の時代の方が便利だし、流行や情報はすぐに入手できるし、欲しいモノがすぐに買える人もいる。楽しいはずなのに、おしゃれなはずなのに、なんだろうこの閉塞感。息苦しい。女性が活躍できる場は少ないとはいえ以前よりは多いはず。それなのにむしろ昔の日本の女性が眩しくみえてしまう。幸せのなかに潜む苦労も悲劇もむなしさや後悔もすべてを受け止める潔さがあの頃の女性たちにはあったのかな。
片山広子、森茉莉、山川弥千枝、城夏子、森田たま・・・これから知っていきたい。生きた時代を読んでいきたい。そして。ところどころに北原白秋の詩、歌が載っていて白秋の訳した『まざあ・ぐうす』も読んでみたい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学:著者か行
- 感想投稿日 : 2015年8月22日
- 読了日 : 2015年8月17日
- 本棚登録日 : 2015年8月17日
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