江戸時代、元禄期の大阪で人々が狂喜した激烈な恋の物語が、角田光代さんの翻案で時代を超えて私たちの前に現れました。お初の目線で描かれた角田さんの言葉はシンプルでストレートなものでした。余計なものは何一つなく、だからこそ胸に真っ直ぐに突き刺さってきます。
それは、哀しいほどの美しい恋。
全てを焼き尽くすほどの狂おしい恋。
遊女が恋することは命がけでした。恋した相手と結ばれることなど、ほとんど夢物語だったのでしょう。その実らなかったたくさんの恋。彼女たちは来世でこそ運命の人と出会うことを信じて、その手段に死を選ぶことさえ無上の喜びだったのかもしれません。
これが、恋。
残酷でありながらも儚く美しい恋。
究極の恋愛物語だと思いました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学:著者か行
- 感想投稿日 : 2018年4月6日
- 読了日 : 2018年4月6日
- 本棚登録日 : 2018年4月6日
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