ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観

  • みすず書房 (2012年3月23日発売)
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最早、未開の地ではなくなったアマゾンの少数民族ピザハン
著者は、キリスト教の伝道者でありアメリカの福音協会の支援を受けて、村を訪れることになった。言語学者でもある。 初めに疑問に思ったのは、何故そんな未開の地に、キリスト教の信仰に伴う倫理や文化を受け入れるようにするために赴くのか?
 現代の言語学者や言語を扱う哲学者たちは、人間のコミュニケーションを理解しようとする道筋で、言語と文化を切り離すことを選んだ。しかしその道を選んだことで「自然現象」としての言語に正面から向き合うことが出来なくなった。1950年代以降、多くの言語学者と哲学者は言語をまるで数学理論のごとく扱ってきた。
言語に意味があり、人間によって話されている事実など、言語を理解するという一大事業に何ら関係が無いかのような扱いだった。
 言語は、人類という種がたどりついた最も素晴らしい到達点だと言えるだろう。ルソーの言う社会契約は、少なくともルソーが考えていたような意味での人間社会形成の基盤となる最初の契約ではなかったわけだ。言語こそが、初めての契約なのだから。
この書を読み終えて、なんて精神的な合理主義なのかと思わざるを得なかった。世界中の宗教家と精神科医・科学者は必死で反論を試みるでしょう。嘘でも反論しないと、その世界で職業として成り立たなくなってしまいます。それとも初めから戯書だと宣言して読みませんか!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 専門書
感想投稿日 : 2015年12月15日
読了日 : 2015年12月15日
本棚登録日 : 2015年12月15日

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