いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ―有効需要とイノベーションの経済学

著者 :
  • ダイヤモンド社 (2009年2月27日発売)
3.45
  • (9)
  • (42)
  • (43)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 479
感想 : 46
4

昨年の日経による、「経済学者に聞いた今年のベストセラー」みたいな企画で上位だったため、読んでみた。

タイトルは「いまこそ、~~学べ」となっているが、
金融危機後の世界経済に対して、二人の思想を用いると、
どういったアイディアが出てくるかという点の議論は意外と少なかった。

ただ、それを補って余りある、同い年生まれの
ケインズとシュンペーター両名の人生をたどりながら、
それぞれの思想を解説していく手法は読んでいて素直に面白かった。
経済の知識が多少いるかもしれないが、
(自分はそこまであるとは思わないけど)なんとかなるレベル。

最終章 二人の遺したもの (タイトルからすると、ここがもっと分厚い内容かとおもってた・・・)より、
「昔からあるモノやサービスに対する需要は必ず飽和する。」この点は両者とも一致している。
ここからが違う。
「ケインズは需要不足は与えられた条件だとして、政府による政策を考えた。」
「シュンペーターは、需要が飽和したモノやサービスに代わって新しいモノを作り出すことーすなわちイノベーションこそが資本主義経済における企業あるいは企業家の役割なのだと説いた。」
これは接点がないということではない。
二人の思想をつないでみると、
「有効需要の不足こそがマクロ経済の成長を阻害する。そういった不足を解消するイノベーション(需要創出型、Demand-Creating Innovation)こそがまさに、資本主義経済の根底を支えるものではないか。」
という主張が出来るという論調。詳細は載っていないww

この話をもっとほれればいいのに。でも、単純に読み物として面白かった。

以下、シュンペーターの考えの中での、「銀行家の重要性」についてのメモ。
新結合(イノベーションのこと)は、言ってしまえば「ベンチャー」
だからこそ、資金の出し手が必要。それが銀行家。
「銀行家は『新結合の遂行を可能にし、いわば国民経済の名において新結合を遂行する全権能を与えるのである。彼は交換経済の監督者である』」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済関係
感想投稿日 : 2010年1月19日
読了日 : 2010年1月19日
本棚登録日 : 2010年1月19日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする