データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則

著者 :
  • 草思社 (2014年7月17日発売)
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とても面白かった。日立製作所の研究所に在籍する筆者が、ウェアラブルセンサによる人間行動の膨大なデータを集積し、時間の使い方、幸福の感じ方、運といった人間行動の法則化を試みている。その試みが、冒険のようでもあり、感動すら覚える。ハピネスの半分は双生児の研究などにより遺伝で決まっている。お金や人間関係、健康といった環境要因からのハピネスは40%。残り10%は積極的に行動してるかどうか。そんな「ハピネスの方法」をビッグデータから裏付ける。ジョブズがノーベル賞教授とたまたま昼食会で隣り合わせたことが復帰の糸口なったことを例に、運=人との出会いの多さととらえる。名札型センサにより、企業内の人と人の出会いをデータ化。知っている人、その人が知っている人という2段階までの人の数を「到達度」とし、それを多くすることが運につながる、と結論づける。さらには、会話の中身も、双方向的であることをウェアラブルセンサによる動きから読み解き、共通目標のあるものが双方向のコミュニケーションをとることも、裏付ける。ビッグデータが、PCに演繹から帰納という革命を起こし、科学→応用→実装というリニアなモデルを変えていくことを、実例を通して語っている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会学
感想投稿日 : 2016年3月19日
読了日 : 2016年3月19日
本棚登録日 : 2016年3月19日

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