水辺のブッダ

  • 小学館 (2019年5月15日発売)
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本棚登録 : 95
感想 : 16
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主人公の望太は社内で起きた窃盗の罪を自分に被せようとした同僚を殺してしまい、6年間服役した。退所後も定職につかず、今はホームレスとして暮らしている。離婚した妻は娘の絵里を連れて再婚。しかし娘には父親の名さえ教えず、死んだことにしている。そして絵里は新しい家族の中でネグレクトされている。近くで生活しながらお互いに知らないこの親娘を交互に描きながら物語は進みます。
河に身を投げ自殺しかけた望太を救ったホームレスの指導者や仲間、どこか仙人めいたホームレスの老人・ブンさん、性依存症の女性、ホームレスを襲撃する若い男、望太が暮らす多摩川の流れのそばには様々な傷を持った人物が登場します。
そして家を出た絵里は典型的なDV男と同棲し、やがて知らずに望太に接近します。
ブンさん(=水辺のブッダ)のスピリチュアルな言葉もなかなか面白い。さらにそれとの関係は曖昧ですが、エンディングで望太と絵里がつながる様に得る前向きな悟りはとても心地良く。
この手の話にありがちな押しつけがましさの少く、良い話でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般
感想投稿日 : 2021年5月18日
読了日 : 2021年5月17日
本棚登録日 : 2021年5月18日

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