清末の政治家である李鴻章を描いた歴史書である。個人がタイトルになっているが、個人の頑張りよりも李鴻章が活躍する背景となった清末の社会情勢に着目している。
清末は皇帝の個性よりも李鴻章ら臣下の存在が重要になる。それは清末の皇帝が能力的に劣ることを意味しない。人口の増大や経済の拡大によって皇帝の個人的能力で何とかする時代ではなくなっていた。
「乾隆帝が名君なら、あとを嗣いだ嘉慶帝、道光帝も、個人としてはいずれ劣らぬ名君であろう。しかし皇帝じしんの力量はもはや、問題ではなかった。前者の御代が「盛世」、後者が「衰世」なのは、旧体制が有効だったかどうかにほかならない」(69頁)。
道光帝は阿片戦争に敗北した皇帝として後世の評価は高くないが、阿片禁止を徹底した健全性は評価できる。道光帝の阿片禁止政策は後世において高く評価されるようになった。彼の勇気とリーダーシップは、中国の近代化と国家の再建において重要な一歩となった。彼の徹底した健全性と禁止政策は、中国人の意識を変え、国の未来に希望を与えた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2023年11月9日
- 読了日 : 2023年11月9日
- 本棚登録日 : 2023年11月9日
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