諫山創原作、砂阿久雁(ニトロプラス)原案、駿河ヒカル作画『進撃の巨人 悔いなき選択』(講談社)はリヴァイが調査兵団に入った経緯を描くスピンオフ作品。エレンにとって敵は巨人という単純なものであった。強大であるが、分かりやすい構図である。これに対して地下街で育ったリヴァイは巨人以前に人間社会の搾取や差別に直面していた。そこから巨人の問題に目を向けることで、その後のリヴァイ兵長につながっていく。
しかし、これは微妙である。人類全体から見れば巨人の方が重要な問題であることは正しい。しかし、地下街の住民が苦しんでいることも事実である。巨人の問題に集中することは身近な生活課題を切り捨てることになる。いくらリヴァイが調査兵団で活躍しても、地下街の住環境が改善される訳ではない。
しかも、皮肉なことに巨人の謎は壁の外ではなく、壁の内側、権力の中枢にあった。物語はクーデターによって大きく進展した。壁の外ではなく、権力中枢の腐敗に目を向けていた方が早道であった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
マンガ
- 感想投稿日 : 2019年12月24日
- 読了日 : 2019年12月24日
- 本棚登録日 : 2019年12月24日
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