暗殺教室 6 (ジャンプコミックス)

著者 :
  • 集英社 (2013年10月4日発売)
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松井優征『暗殺教室』はシュールなギャグ漫画でありながら、社会問題を鋭く突く。第1巻ではイジメを取り上げ、第2巻ではヤンキーの屑さを描いた(林田力『ブラック企業・ブラック士業』「『暗殺教室』ヤンキー批判」)。第5巻ではブラック企業に通じる暴力教師を登場させた(林田力『ブラック企業・ブラック士業』「『暗殺教室 5』ブラック企業批判」)。
そして『暗殺教室 6』(集英社、2013年10月4日)で登場するキャラクターはブラック士業を連想させる。このキャラクターは民法をマスターしたと豪語する優等生であるが、その知識によって人を縛る契約を作成することもできるとうそぶく。人権や公平などの法の精神を何ら理解していない愚か者である。
これはブラック企業に脱法行為を指南するブラック士業に重なる。ゼロゼロ物件や脱法ハウスなどの貧困ビジネスも法の精神を理解せず、自らの利益のために法の抜け穴を突くことしか考えないブラック士業的である。自己の利益のために人間をチェスの駒のように利用しようと企む蛆虫である。
イジメは大津イジメ自殺事件や北本イジメ自殺事件で社会問題になった(林田力「北本イジメ自殺裁判と最高裁裏金裁判」真相ジャパン第123号)。ヤンキーも関東連合など暴走族出身者の犯罪で社会問題になった。ブラック企業やブラック士業も社会問題になっている。ブラック企業やブラック士業は戦慄するほど罪深い存在である。『暗殺教室』の社会性の鋭さに注目する。『暗殺教室 6』は初版100万部達成という快挙を成し遂げた。それにふさわしい作品である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2019年11月23日
読了日 : 2019年11月23日
本棚登録日 : 2019年11月23日

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