宮沢賢治『銀河鉄道の夜』はSFファンタジーである。宮沢賢治の代表作である。SFファンタジーの描写に古さを感じさせず、現代に作られてもおかしくない。猫のキャラクターでアニメ映画化された。
銀河鉄道は電車である。NHK『ブラタモリ』「花巻~花巻はなぜ宮沢賢治を生んだ?~」(2019年12月7日)で林田理沙アナウンサーは銀河鉄道に蒸気機関車のイメージを持っていた。松本零士『銀河鉄道999』(Galaxy Express 999)に引きずられたのではないだろうか。戦前の『銀河鉄道の夜』が新しい電車で、戦後の『銀河鉄道999』が蒸気機関車に先祖帰りしている点が興味深い。
『ブラタモリ』は宮沢賢治を化学肥料の導入など農業の改革者として紹介した。新しいものを取り入れる革新者という視点は新鮮である。宮沢賢治には近代化に対抗する共同体主義者というイメージがある。「雨ニモ負ケズ」が典型であるが、『銀河鉄道の夜』も自己犠牲を美化する方向に解釈される可能性がある。それと異なる視点は全体主義に利用されないために貴重である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2019年12月8日
- 読了日 : 2019年12月8日
- 本棚登録日 : 2019年12月8日
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