仕事でもプライベートでも、人と話をしていて、
どこかかみ合わない、対立している、と感じることがある。
大抵の場合、無理やり論点を戻そうとしたり、
どちらかの論理の矛盾を突こうとしたり、
逆に対立を避けてあいまいな妥協をしたりして、
対立しても妥協しても、結構なストレスである。
しかもその結果、表面上は合意しても協力が得られない、とか
中途半端な結論のため途中でやり直し、ということになり、
それまでの話し合いの労力は無駄になってしまう。
MITでまとめられた「ラーニング・オーガニゼーション」、
そこで使われるコミュニケーション手法「ダイアログ」は、
上記のような無意味な話し合いではなく、
調和、洞察、コミットメント、協力を生み出す対話の手法である。
この本は、そのダイアログの手法を生み出したデビッド・ボーム博士と、
インドの思想家のクリシュナムルティの対話である。
対話の内容は、人は思考それ自体の性質のために、
考えれば考えるほど誤った方向に進んでいる。
これらを捨てて、無、空をさらに越えるには・・・というもので、
とても言葉では説明できない内容である。
言葉にできない、言葉にした時点で誤りとなるような内容だからこそ、
通常の論理的議論では扱えず、新たな対話の手法が生まれたのだろう。
ダイアログの理論面については、ボーム博士の著書「ダイアローグ」で
知ることができるが、本人の実践を読むことは、知ることから分かることに
変わるための貴重な体験になると思う。
- 感想投稿日 : 2013年6月5日
- 読了日 : 2013年6月4日
- 本棚登録日 : 2013年6月4日
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