文章に、欲情してしまう。と書くと特殊性癖のようだが(そうなのかもしれないが)、本作を読みつつ感じたことを素直に書き記すならそうなるだろう。別に、著しい性的描写があるわけではなく、その意味で「興奮」しているわけではない。
生々しくベトベトに書かれている表現に、心の芯にある情欲の深いところを刺激され続けた。デビュー作を含む中編集だが、一貫して感じたのは抑圧と逃避。
その逃げ場所の異常性とドラマツルギーが、著者の作品として際立たせている。淡々とした狂気ではあるが、それが他人事とは思えない恐ろしさ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年1月4日
- 読了日 : 2017年1月3日
- 本棚登録日 : 2017年1月4日
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