自分を所有することを諦め、愛し感じ考えることを手放し、人間性を放棄した男性。自我を殺され、愛する子を護るため世界を抹消しようとした女性。
それぞれが誰かに助けられ、思い出すだけで胸が潰れてしまうほど忌まわしい過去を話せる相手、自分の身体がバラバラにならないよう繋ぎ止めてくれる誰かと、また生きる希望をみいだす。
それでも、過去は消えない。どうにもならない人生への慟哭や助けられなかったことへの懺悔。もっと愛したかった、もっと愛されたかった、もっと人生を愛したかった熱望は、時空をもこえて響いてくる。とても苦しい話だった。
語れない、語りたくないなかで、過去と現在を視覚的にも行き来しながら少しずつ全貌がみえてくる。行間の表現や隠喩もあり、とてもリアルな中にファンタジー要素もあり、読み進めるのが難しい箇所もあった。作者が意図することをしっかり受け止められたか、不安は残る。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年2月27日
- 読了日 : 2024年2月25日
- 本棚登録日 : 2024年1月26日
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