榊原式スピード思考力

著者 :
  • 幻冬舎 (2008年12月1日発売)
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*世の中の人が右と言えば、右と言う。そんな態度では、次第に自分の頭を使ってものを考えることから遠ざかっていってしまうでしょう。人が右と言えば、まず「左ではないか?」ということを本当は考えなければいけないのです。「スピーチ」のような訓練を学校でしないから、日本人はこのように、多数派に対して反論をすることが苦手です。政治家でも評論家でも、ほとんどの人は自分の思考を封殺して「右にならえ」になってしまいます。しかし本当に能力のある人は、やはり進んで少数派になることができるはずです。
*とくに人を選ぶ場合など、人はとかく”好き嫌い”を重視する傾向があります。「第一印象が大事だ」なんて言われるのは、結局は情報を総合して相手を判断することをせず、ただ会ってみて好きになったか、そうでなかったかで人を決めつける人間が多いからでしょう。ただ、そんなふうに”好き嫌い”で人を集めると、たいてい相手は「仕事のできない人」ばかりだったり、あるいはゴマスリをする人ばかりの集団になってしまいます。そういうと極端に聞こえるかもしれませんが、私個人の場合でもまわりを見ても、プロジェクトメンバーの人選とか、あるいは採用さビジネスパートナー選びの失敗は、感情で人を判断してしまった結果であることが多いようです。好きな人を集めたって、仕事のできる集団はつくれません。むしろ仕事のできる人には、イヤな奴と思われている人間が少なくないからです。ですから人を見る場合には、非常に冷たい目をもつことも必要になります。ある程度ポジションが上がってくれば、すり寄ってくる人が多くなる反面、抵抗する人間だって現れます。心情的には、すり寄ってくる人をとかく用いたくなりますが、抵抗する人間を用いたほうが実際は組織がうまくいくことが多いのです。
*さらにもう一つは、ユーモアのセンスを磨くことでしょう。多くの日本人はユーモアに欠ける部分があるといわれています。それはすぐ「ウィットにとんだ会話をしよう」などと身構えるからかもしれませんが、何でも四角四面に考えるのではなく、本当は自分のことも含めて、すべてを笑って受け止められるような余裕が大切なのではないでしょうか?どうせ世の中のこと、たいしたことないやと思えばいいのです。
*本を読む習慣をつける。
現在のような先の見えない時代に、やはり力を発揮するのは、「考える力」であり、新しいビジョンや、いままでになかったものを生み出せる創造力だと思います。しかし、そんな「考える力」や創造力の土台には、”知識の詰め込み”があることを忘れてはいけません。よく詰め込み型の学校教育を否定する人もいますが、短絡的発想です。本当は創造力を開花させるためにこそ、豊富な知識が必要なのです。
*テレビは原則観ない、観たいものを決めてしまおう。
ボーッとしている時間はない。時間を確実に”自分のもの”にするために、意味のない時間を極力つくらないようにすることが必要でしょう。つまり、漠然とボーッとして過ごすような時間があればできるだけ排除すべきなのです。むろん、「ボーッとする時間」にも価値がないわけではありません。頭をリフレッシュさせるために、たとえば十分、十五分くらいの”何も考えない”時間をつくる。その時間は、あくまで意図的につくっているのですから、漠然と過ごしていても、主導権は自分の側にあるわけです。問題は、意図していないにもかかわらず、ボーッとしてしまう時間です。それがもっとも多くなってしまうのは、なんといってもテレビを観ているときでしょう。”漠然と観ているだけ”にもかかわらず、テレビの前に座っている時間は、確実に失われています。要するにこの間の時間は、あなたから奪われているのも同然でしょう。
*別に上司だからといって、「真剣にその人と理解し合わなくてはいけない」とか、ましてや「仲良くしなければならない」ということはまったくないはずです。時間が経てば、上司だって変わるかもしれないし、会社の組織だって変わるかもしれないのです。重要なことは、むしろ自分自身の実績や能力を高めていくことではないでしょうか。
*異質なものは頭への最高の栄養
数字で頭が固まっていないか。「頭の固い人」というのは、結局は自分と違った価値観や、自分と違う立場の人の見方を受け入れられない人です。私たち自身が「頭の固い人」にならないためには、価値観や環境の違う人たちの意見を積極的に聞き、いろいろな立場からの思考ができるようにする努力が必要なのでしょう。その点で「異質なもの」は、頭に対する最高の栄養なのです。「考える力」を養うためには、そういう人たちの声に、積極的に耳を傾けていく姿勢が大切なのではないでしょうか。
*頭はできるだけやわらかく
日本人は方向転換の天才
「学者バカ」という言葉がありますが、専門的な知識ばかりを頭に詰め込んできた人には、常識がなく、自分だけが正しいと思い込んでいるタイプが少なくありません。そうなってしまうのは、やはり彼らは「異質なもの」に触れ合うことが少ないからでしょう。たしかに、学問の世界は一つのことを深く追求していくことが大切なのですが、幅広い勉強も、また、重要です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自己啓発
感想投稿日 : 2017年3月4日
読了日 : 2017年3月4日
本棚登録日 : 2017年3月4日

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