東北の某県で実際に「拝み屋」を営む作者が、その仕事柄見聞きした怪異を、怪談に仕立てることで、いわば怪異の供養をするという仕立。
つまり実話怪談だ。
なかには、作者自身が体験した怪異も多数含まれており、リアリティが高い。
背筋がぞくぞくっとするものもあれば、ただただ幻想的で美しいものもある。
しかし、怖ろしい話の白眉は、作者自身が体験している、ある少女にまつわる一連の怪談だろう。
死者とも生者ともつかぬこの少女は、美少女であり、かつ、からくり人形の仕掛けのように、一瞬にしてある怖ろしい表情に変わるというところが、もの凄くおそろしい。
つまるところ、たとえ怪異であっても、それが「死霊だ」あるいは「○○の呪い」「××の幽霊」と結論づけられると、恐ろしさは減じる。
事象だけがあり、それが全く何かわからない、しかも危害を被る可能性大というのが、最も怖いのだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ホラー
- 感想投稿日 : 2017年1月27日
- 読了日 : 2017年1月27日
- 本棚登録日 : 2017年1月27日
みんなの感想をみる