初めての海外旅行体験は、その後の旅行になんらかの影響を及ぼすと思う。いまではすっかりアジア貧乏旅行のカリスマとなった著者の、最初の旅行先は意外にもアメリカだった。でも20代前半に、そのころ日本でいちばん情報量が多かったのがアメリカ。しかもまだのんびりとした時代のこと、いろんなことがあったけれど、楽しかった記憶が著者を海外へと導いたに違いない。
タイトルの「ピーコート」は、厚手のウールのショートコートのこと。著者はギリシャ旅行の旅先で、同じような境遇の日本人旅行者からピーコートをもらう。そのコートを着て、極寒のヨーロッパを旅したという。そのコートがなければどれだけ辛かったことだろう。そして、ヨーロッパの一人旅でもそんな親切に出会える幸運。著者の本が、どの地域の話であってもやさしく、明るいのは、そんな体験があってのことだろう。1979年のアメリカ留学、その20年後のアメリカ再訪までの間に旅した、世界各地でのできごとと、思い。自然体で旅する著者のスタイルは、旅を楽しむ武器でもあったのだ。
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カテゴリ:
アメリカ/カナダ/メキシコ
- 感想投稿日 : 2011年10月31日
- 本棚登録日 : 2011年10月31日
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