「旅で会いましょう。」で「大人の週末バックパック」を提唱(?)した著者グレゴリ氏が、この本では「一度訪れた国をもう一度訪ねてみる」体験を綴っています。何年も前に訪れたことのある異国の地、というだけで、それは当事者にとっては特別な思い入れのある場所です。その時の記憶のひとつひとつが、その国や町のすべてではないけれど、その人にとっては貴重なその国・町での真実だったりします。そこで感じた気持ちや、食べた味、匂い、音、さまざまことが記憶の奥底にちゃんとしまってあるのです。そして、何年もの時を経てその地をふたたび訪れるとき、そんな記憶がふたたび呼び起こされるのです。
この本では、そんなノスタルジーにも似た著者の温かく遠い眼差しと、そこを再び訪れて出会った新たな発見や驚きが、グレゴリ氏独特の筆致で楽しく描かれ、自分も「再訪」したくなってきます。作中で、旅先の列車内で著者が好きな作者の本を読むくだりが少し空しさをもって描かれていますが、この本なら、旅先で軽い気持ちで読んで楽しめることでしょう。
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カテゴリ:
アジア
- 感想投稿日 : 2011年6月20日
- 本棚登録日 : 2011年6月20日
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