大学改革の歴史、FD・SDの取り組みについて。
アメリカやドイツの大学教員論の蓄積は悔しいけど深いという部分がとてもおもしろい。
アメリカやドイツの大学教員は、「研究か、教育か」ではなく、「研究も教育も」をかなり高度に求められており、それを数百年間かけて築き上げてきたそうです。
では、大学教員の要件とはなにか。
アメリカのアーネスト・ボイヤーの有名な(初めて知りました)スカラーシップ論によると、次の4つである。
ひとつめは、discovery(発見)、すなわち研究。
ふたつめは、integraton、すなわち総合。
みっつめは、application、すなわち応用。
よっつめは、teaching、すなわち教授。
日本の大学教授の多くも、(1)ディスカバリーは学会などでやっているし、(4)ティーチングは近年では多くの教授が関心を注ぐようになってきている。
しかし、アメリカやドイツでは、それだけでない。インテグレーションとアプリケーションもきちんと埋め込まれている。
インテグレーションというのは、自分の専門を教えるだけではなく、近接領域、境界領域、他領域等々さまざまな領域のことを知らなければ、実は自分の領域のティーチングもできないということ。
さらに、アプリケーションは、(理論を現場に応用するだけでなく)むしろ現場から研究テーマを発見し、さらに理論に磨きをかける理論と現場の往復運動ができること、をいう。(以上、46-49頁)
その他にも、メモ。
「規範というものは、基本的には、学生の内面に形成されるものです。その形成の重要な部分を担うのは、正課外の教育です。正課を教える大学教員の責務は、規範それ自体を教えることではなく、規範の基礎、成立根拠を、正確丁寧に教えることです」(70頁)。
「『○○大学ならでは』というFDやSD」をどう考えるか」(77頁)。
・大学改革論としての大学アーカイブズ論(136頁)
・学生、職員、教員の大学アイデンティティ確認としての自校教育(125頁以降)
- 感想投稿日 : 2012年4月5日
- 読了日 : 2012年4月4日
- 本棚登録日 : 2012年4月5日
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