セクシィ・ギャルの大研究: 女の読み方・読まれ方・読ませ方 (岩波現代文庫 学術 217)

著者 :
  • 岩波書店 (2009年5月15日発売)
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「情報生産者になる」を読んで本棚から1992年のカッパサイエンス版を引っ張り出しました。上野千鶴子が自ら処女喪失作という著作であり、彼女の良きにつけ悪しきにつけ名刺がわりの一冊でした。女性学という目新しい立場や現在でもまったく不変の挑発的物言いにイロモノイメージがあったような気がしますが、その後の四半世紀の研究と教育の立場で社会学を鍛え上げる、という仕事には尊敬です。「情報生産者になる」はその集大成であり、「セクシィ・ギャルの大研究」はそのスタートラインだったのかもしれません。使われる広告サンプルはとても古めかしく時代を感じさせますが、その後の時の流れは社会における女性の位置付けを変えたのか、変えなかったのか?人によって意見は違うかもしれません。例えば東京医科大学の入試の女性差別問題とか、何も変わってないじゃないか、ということになると思います。だけど著者の学問におけるポジションは周辺から中心に移行しているのだ、と最新作を読んで感じました。それにしても最初の一冊から炸裂している上野節(もののいいよう)は全く変わらないのは、彼女が受け止める人ではなく、仕掛ける人だから、なのだと想像しました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年9月17日
読了日 : 2018年9月17日
本棚登録日 : 2018年9月17日

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