新宗教を問う: 近代日本人と救いの信仰 (ちくま新書 1527)

著者 :
  • 筑摩書房 (2020年11月7日発売)
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コロナ禍によるいわゆる「ニュー・ノーマル」って産業構造やライフスタイルの問題だけじゃなく、人の心にも大きな影響を与えることになるでしょう、きっと。だから芸術だとか宗教を求める力も大きなってくるんだろうな、となんとなく思っていました。芸術はみんな大っぴらに語るとするとして、時代の要請に応じて宗教がどんな変化をしていくのか、そもそも時代の変化に合わせて生まれてきた新宗教って何?というモヤモヤ感によって手に取ったのが本書です。かなりスッキリしました。プロレス団体の集散離合のように新宗教の相互関係が初めてわかりました。同時に公明党とか日本会議とか現在の政治を語るうえでの重要な要素としての新宗教の大きさにたじろいだりもしました。しかしここまで仕組みがわかると得体の知れなさに怯える必要もないのかな、とも感じました。怯えるべきは人の心の行方。新宗教がコミュニティベースの「旧新宗教」と個人ベースの「新新宗教」に分かれるという分析がそうだとしたら、オウム真理教が獲得したスピリチュアルを求める個人の願いは、きっと東日本大震災やコロナ禍を経て日本の上空に大量に浮遊していると思われます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年3月7日
読了日 : 2021年2月25日
本棚登録日 : 2021年2月14日

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