世界経済の大潮流 経済学の常識をくつがえす資本主義の大転換 (atプラス叢書)

著者 :
  • 太田出版 (2012年4月21日発売)
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感想 : 16
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「現在が未来に食い込むにつれて、過去はその姿を新しくし、その意味を変じていく。」という清水幾太郎が訳書のはしがきで書いた言葉が、まさに体感出来る本です。今、起こっているグローバル経済の流れをブローデルの「長い16世紀」との近似から、中世から近代へのシステムを転換させた歴史の断絶と同じことが進行しているとの指摘がなされます。曰く「長い21世紀」。ここで起こっている断絶が「利子率革命」「貨幣革命」「価格革命」「賃金革命」の4つの革命が無茶苦茶、腑に落ちるように語られます。9・11、9・15、3・11を近代が持っている無限の膨張主義の破綻として共通の概念で語っているのも目鱗でした。その概念が「蒐集」。「蒐集」には終わりがなく必ず「過剰」に行き着く。これは「暇と退屈の倫理学」における「消費」は無限であるが「贅沢」は終わりがある、という指摘に相通じる、と感じました。目指すべきは、地域を拠点にして、できるだけ自己完結型で定常社会を前提とする生き方?というのも「成長なき時代の「国家」を構想する」とのシンクロを感じました。今、みんなが必死に新しい社会モデルを模索しています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年9月30日
読了日 : 2012年9月30日
本棚登録日 : 2012年6月3日

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