まだ民営化される前の国鉄が1970年の大阪万博が終わってすぐ、利用客の激減に対する対策として始めた国民動員キャンペーンがDiscover Japan。それから約半世紀が立ち再び大阪で万博が開催される前に、もう一度、Discover Japanが蘇りました。50年前の眦決したような大作戦ではなく、ゆるゆる個人のゆるゆる観光としてですが…。いわゆるアンノン族をターゲットとした「美しい日本と私」が「オシャレ」な日本を再発見(いや、こじつけ?)したのだとしたら、今回は「妙ちきりんな日本と私」といった感じで「ヘンテコ」な日本を極私的に発掘しています。「オシャレ」から「ヘンテコ」の50年間には、田中角栄の「日本列島改造論」があり、「六全総」があり、「国鉄民営化」があり、「新幹線・整備新幹線」があり、どんどん「地域差」を埋めていこうとする年月でもありました。しかし高度経済成長が終わりバブルが破綻し地方交付税も厳しくなり「ふるさと創生」も何が何だかわからなくなり人口減少が始まり「地方消滅」みたいな言われ方をし、そして一方でインターネットの登場やSNSの発展によって個人は徹底的に個人になっていき、さらにはインバウンド3000万人とかでインスタに惹かれて日本人にとってよくわからないところまで外人が入り込む時代になって、みんなの「オシャレ」≦ひとりの「ヘンテコ」という逆転が起きた、ということだと思ってページを閉じました。妙に自意識過剰で、持って回った言い回しで、皮肉っぽく、露悪っぽい文章にだんだん慣れてくると、めちゃ著者の「地方LOVE」(いや、東京も入っているから「地域LOVE」かも)に嵌っていくのです。本書は、たぶん情報でする観光から自分の身体で感じる観光への誘いなのではないでしょうか?やたら海に入っているし、ジェットコースター乗ってるし、デカイものに反応しているし。
- 感想投稿日 : 2019年5月29日
- 読了日 : 2019年5月29日
- 本棚登録日 : 2019年2月25日
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