ジグβは神ですか (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社 (2012年11月7日発売)
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感想 : 200
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著者の小説はこれまでS&Mシリーズ、Vシリーズ、Gシリーズ等、各種読んできました。
本書はこれらシリーズを統合する一冊であり、各シリーズ間の時間の差や登場人物間の人間関係、そして人物の老いや成長を通して時間の流れが描かれています。

老いが描かれていた所為もあって哀愁めいた物も感じ、またストーリーもこの感情にそう物となっており、密室殺人の謎を解くと言った派手な感じのミステリーではなく、もっと静かな印象があります。

では前置きはこの位にして以下であらすじをご紹介。

Gシリーズでは学生だった研究室の面々も今では社会人。
そんな彼らが久しぶりに山奥の格安コテージで休暇を共にする事になる。

コテージは、ある宗教団体が運営する芸術家の為の隠れ里的な施設の内部に存在しており、その閉鎖性が社会から問題視される事もある。

久しぶりの再会にわく彼ら。
しかし宿泊早々、芸術家の一人が全裸の姿を全身ラップで覆われた上、棺桶に納められていると言う奇妙な他殺体で発見される。

丁度その時、被害者の両親は中々連絡が取れない我が子を案じ、同地に探偵を派遣して調査に当たらせており・・・



冒頭で触れた通り、これまでのシリーズを統合する内容となっており、その為、登場人物の老いを感じさせる記述に、この人もあのシリーズでは若者だったのに・・・と言った哀愁めいた物を感じさせてくれます。
その為、奇妙な他殺体と言うミステリーのお約束的な状況が描かれているにもかかわらず、上記の通りどことなく静かな印象があります。
謎解きの方もこの印象にたがわないあっさりとした感じでしたが、しかしそれだけではありません。

例えば、事件発生を伝える後輩女子に対して先輩男子が

「なんか、久しぶりに加部谷(=後輩女子)さんに会ったら、もたもや事件?」と返したり、

その返された当人も、写真家が元同級生女子の写真を撮った後、相手は普段昆虫しか撮る気にならないと言う事が判明した際に、彼女に対して

「カマキリみたいだからじゃない?」と真顔で言ったりと、

いきなり笑いのツボを押される"奇襲攻撃"を受けてしまい・・・

結構油断ならない小説です(笑)

著者のシリーズ既刊を読み進めてきた人には間違いなくおすすめ。
そしてまだ読んでいないと言う方はそちらの方から読み進めていく事をお勧め致します。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2013年8月18日
読了日 : 2013年8月18日
本棚登録日 : 2013年8月18日

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