自滅する中国

  • 芙蓉書房出版 (2013年7月24日発売)
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本書の紹介文によれば戦略家、そして中国問題の専門家として著名な著者が大国化著しい中国と周辺国との関係を論じた一冊。

第1次世界大戦前のドイツを例に取り

国家は大国化するだけで周辺諸国の反発を招くが、それだけに留まらず自国の国力に見合った軍事力を整備し始めると、周辺諸国はその国に対して脅威を感じ、対抗策を取り始める。
そして、当初は国毎に個別な物でしかなかった対抗策もやがて他国との有形無形の協力に基づいた物となり、最終的にこの周辺諸国の連携によって新大国の発展が阻害される。

その為、新大国が発展を続けるには軍事力の増強を止めるか、あるいは周辺諸国が抵抗を断念するまでに強大な国家になるしかない。

と主張。

次いでこの考えを現在の中国に適応した上で、

「自分たちがこの様に反応するから他国も同じ様に反応するはず」と言う思いこみ、本書の表現を借りれば「大国の自閉症」にとらわれた中国が、周辺諸国に反感を抱かせ、これを離反させる行為を繰り返している点を解説し、彼らが自らの力を誇示すればする程、周辺国が対中国の連携を取り始めている様子を指摘しています。

そして、周辺国が平和を保つには中国の成長を年率4%程度に抑え込む必要があると述べ、これは経済的手段で達成できると結論付けています。

尚、本書では具体的、かつ詳細なデータに基づいた分析が行われている訳ではなく、もっとマクロな視点からの思考が行われています。
その為、実際に著者の考えが今後、どの程度現実を反映する事になるのかは良く分かりませんが、自国の軍事力を増強しつづければやがて他国がそれに脅威を感じ、最終的に周辺国が有形無形の連携を取り始めて自国に対抗すると言う指摘は重要ではないかと思います。

この様に中国のみならず、日本も含めた様々な国家について考える際に役立つ考え方を身に付ける事が出来る内容となっています。

興味をお感じになられれば一読されてみては如何でしょうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年4月29日
読了日 : 2014年4月29日
本棚登録日 : 2014年4月29日

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