エアフレーム 上: 機体 (ハヤカワ文庫 NV ク 10-17)

  • 早川書房 (2000年9月1日発売)
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テンポが速く、その展開に興味を覚える。

ホンコンからデンバーへ飛行中の大型旅客機から、
ロサンゼルス空港に緊急着陸の要請がはいった。
空中で異常事態が発生し、
多数の負傷者と死者が出たというのだ。
かろうじて着陸した旅客機の内部は、
壊滅的な惨状を呈していた。
シートはつぶれ、さけた天井のパネルからは
配線や断熱材がむき出しになっている。
一体、何がおこったのか?

事故機を生産したノートン社では、
緊急会議が招集され、
直ちに事故原因究明チームが結成された。
ボーイングやダグラスと並ぶ業界最大手のノートンでは
中国との大規模な契約が進行中だった。

ケイシー・シングルトン 品質保証部の事故原因究明チーム
ジョン・マーダー 最高業務執行責任者(COO)

シングルトンは、マーダーに引き立てられる。
聡明で、真実を追求するのに、全力をあげる。

飛行機というのは、部品が多く、
コンピュータで殆ど制御されている。
航空会社の整備というのが大きな問題となる。
規制緩和ということは、逆にコストダウン、
経費の節減ということで、
人命を預かる飛行に大きく影響してくる。
エアーフレームといっていることに、意味がある。

「フロントはわしらにこういったものさ。
可能な限り最良の飛行機をつくれとな。
ところが、いまではこうだ。
ー可能な限り最良の飛行機をつくれ、
ただし、できるだけやすくあげろ」エイモス

「労せずしていい目が見られると思いこんでいる
ということさ。
政府が航空会社の規制を撤廃すれば、
誰でもが歓迎する。
航空運賃が安くなれば、誰もが歓迎する。
しかし、安全が保たれてきたのは、
それだけの努力をしてきたからじゃないか。
新造の安全な期待の補充。
それらが良好な整備を受けることを保証する監督体制。
そういったものに力を注いできたからだ。
だから、そんな時代は終わった。」

事故 その原因を探っていく。
「スラットの不具合」そして 模造品
事故は、いくつもの問題が重なってはじめてできる。

ディスクロージャーにでてくる女性が、マーダー側であった。
シングルトンは、あくまでもすがすがしくかかれている。
リッチマンは、単なるぼんぼん。

マクダネル・ダグラス社が、ボーイング社に、吸収合併されていく。
規制撤廃がもたらした、旅客機メーカーの大型化。

テレビの報道番組に対する批判
「事実を可能な限り客観的に伝える。」
事件を説明するのに、あまりにも時間が短すぎる。
ヘッドラインだけが主流となっている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー/ハードボイルド
感想投稿日 : 2013年4月9日
読了日 : 2013年4月9日
本棚登録日 : 2013年4月9日

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