錯乱のニュ-ヨ-ク (ちくま学芸文庫 コ 12-1)

  • 筑摩書房 (1999年12月9日発売)
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レムコールハースによる「錯乱のニューヨーク」
建築家磯崎新は、建築を学ぶものにとっての必読書としてあげる。
ニューヨークを偏執狂的批判主義の手法で読み解こうとする。レムは、マンハッタンのゴーストライターとも言っている。錯乱しているのは、メトロポリス ニューヨークだけでなく、レムも錯乱の境地に入っているようだ。メトロポリスを妄想のように描き出す。「理論上、論理的推論、そして妥協して不完全」なニューヨーク都市論。
コロンブスは、地球はまるく、西に行けばインドに到達すると考えた。コロンブスの錯覚によって、原住民はインディアンと呼んだ。そこには、インドがなかったが、インドに捏造されて、事実を隠蔽した。インディアンに対し、オランダ人は、1626年 マンハッタン島を 24ドルで買い、ニューアムステルダムを建設した。のちのニューヨークとなる。そこを2028個のブロックに分けた。
レムは、マンハッタンを「過密の文化」という。地面が限られた中で、空へ切り開いて行く開拓精神とエレベーターによって垂直の処女地が幾十層に切り開かれ繋がれていく。そして、都市の中に都市が作られていき、過密の文化は垂直に広がって行く。その錯乱は、摩天楼(スカイスクレーパー)によって成立する。
摩天楼は、「最大限の過密・最大限の利益・最大限の美」を求める。
都市はボッキする。そのボッキを維持する過密の文化が必要となる。
ルコルビュジェは、摩天楼は小さすぎると言って、コンクリートにガラスを纏わせる。
デカルト的な建築により、モダン建築でニューヨークを作り変えて行く。
誇大妄想的主張をして、「真実と化した嘘」と「覚醒なき夢」が重なっていく。
混沌と矛盾と創造を生み出す。ニューヨークを過密の文化で、さらに過密化させていく。
そうでしか、ニューヨークは メガポリスとして生き延びれない。
それが、ブエノスアイレス、北京に 広がって行く。
北京のCCTV 中央電視台の奇妙なビルは、摩天楼が空中で屈折してつながる。
それを、レムコールハースが設計したと言われて、納得した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 建築
感想投稿日 : 2020年5月17日
読了日 : 2020年5月17日
本棚登録日 : 2020年5月17日

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