未来の住人のために (OURS TEXT 001)

  • nobody編集部 (2012年12月20日発売)
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山本理顕の横浜国立大学退任記念イベントとして開催したシンポジウム
「建築をつくることは未来をつくることである」の内容。
この本を読みながら、未来を作るには、まだ遠いと感じた。
未来自体のイメージができていないことによるのかもしれない。
その姿勢をかうことが、できると思うけど。

地域社会圏主義を唱えている 山本理顕は、
これまでの建築のあり方では、住む人に未来がないという。
そして、2011年3月11日を経験した建築家として、より一層想いを強める。
帰心の会 (KISYN)による 復興後の提案を進める。
隈研吾(K)伊東豊雄(I) 妹島和世(S)山本理顕(Y)内藤廣(N)
伊東豊雄の みんなの家 の実践を協力し合う。

3月11日の衝撃が、建築家にあったことを知る。
そして、建築家が 無力であり、復興に対して、なんのアドバイスもできない。
そんな中で、何が問題なのかを えぐり出す。
建築家は、誰のために建築しているのか?
つくる主体と使う主体の分離。
高度経済成長の時には、一致していたが、
大きな時代の変化の中で乖離が進んだ。
「毎日行きたくなるような公共施設を作る」

復興に、土木は積極的に関わるが、建築家は呼ばれない。
建築家は、個人のデザインが中心になって、復興への地域ビジョンを出せない。
みんなの家を作りながら、建築家としての自分とただ一人の自分と向き合う。
プライバシーとセキュリティをどう扱うのか?
一住宅一家族 という考え方を作り上げた。
集合住宅には、共有部分が、廊下とエレベーターしかない。
人の幸福とは、家を持つことである。その家のローンを一生払う仕組み。
住宅を私有化することが、大きなフィクションとなった。
1戸建ではなく、マンションの増加による日本の疲弊。
その中で、コミュニティをどう作り上げて行くのか?
なぜ、コミュニティが必要なのか?
私有に頼らない共同性。
何が、問題なのか?が見えているが、それを突き破る
方法が見えていないような気もする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 建築
感想投稿日 : 2020年3月9日
読了日 : 2020年3月9日
本棚登録日 : 2020年3月9日

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