分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議

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  • 岩波書店 (2021年4月6日発売)
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第4回も繰り返された非常事態宣言。なぜ、このような事態が繰り返されたのか?
政府の無能さについては、なぜそんなに無能なのか?について、もっと明らかにされて行くだろう。
梅干し顔のドンが「菅首相続投の声が国民の間にも強い」と言い切ったところは、もう耳が悪くなっていることは、明らかだ。その上、ガースー首相は、「コロナ中等症は自宅療養」を政府方針とした。抗体カクテル治療は、感染初期に使う療法だが、どうやって受けるんだべ。あまりにも矛盾した方針。国民の安全安心を守ると繰り返し言ってきたことを、かなぐり捨てた。これって、肺炎の人が病院で治療受けられないなんて、医療崩壊だと思うよ。
ところで、尾身茂。どうも、その外見のソフトさと頼りなさがにじみ出ているコロナ感染専門家なる人、ふーむ。これだけの感染症を広げているのは、ガースーが主犯なのか、尾身茂が主犯なのかよくわからない。少なくとも、共犯であるような気もする。よくわからないので、この本を読んでみた。
2020年2月14日から7月3日までの「新型コロナウィルス感染症対策専門家会議」にフォーカスしたノンフィクション。読み終わって、感じたのは、ノンフィクションを書くにはもっと「俯瞰力」がいると思った。「分水嶺」と言っているが、何が分水嶺なのかよくわからなかった。
ただ、専門家として、現状を分析して、どう判断するかということで、「選択をせざるを得ない」時にどう対応したのか?
コロナ感染専門家として、脇田隆字(専門家会議座長)、尾身茂(専門家会議副座長)、押谷仁、西浦博、岡部信彦、武藤香織の群像に焦点が当てられている。
脇田隆字は、国立感染症研究所所長(厚生労働大臣に任命される職)。感染症対策専門家会議。世界で初めて、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染性ウイルス粒子を、培養細胞で作製することに成功。
2020年2月にルビコン川を渡って、専門家会議独自の見解を出す。厚生労働省が本来は発表するという不文律を破る。厚生労働省は、「症状の現れない患者からの感染」を言句を削れという。とにかく、座長は、厚生労働省との交渉に明け暮れる。官僚と専門家の調整役。
尾身茂は、独立行政法人地域医療機能推進機構理事長。1949年生まれ。1990年 - WHO西太平洋地域事務局感染症対策部部長。1999年WHO関西太平洋地域事務局事務局長。中国で起こったサーズに対応した。まぁ。WHOのアジアにおいての感染症のプロ。
この本では、尾身茂の「前のめり」が浮き彫りになる。感染症対策というのが、予測を立てることに注力する。北海道大学の西浦教授の8割おじさんの主張を訴える。
専門家会議は、意見を言うだけで、実行する力はない。専門家会議のポジションが、日本の現状を作り出した要因か。
押谷仁、尾身と同じようにWHOにいて、中国のサーズに対応した。東北大学教授。
3密を避けることの中で、クラスター対策を提唱。地方自治体で、コロナ患者の状況は集約されるが、専門家会議はそのデータが使えない。それも、患者報告がFAXで行われている。日本のお役所仕事のとほほな現状。NHKドキュメントでそのころは盛んに取り上げられていた。PCR検査に対して懐疑的。「PCR検査を抑制している」と叩かれた。過労で倒れる。
専門家会議で、PCRを強力に進めると言わなかったことが、一番のよくないことだろうね。あくまでも、医師が必要と判断した場合に限った。(これが、専門家会議の大きな問題)
武藤香織、東大医科学研究所公共政策教授。リスクコミュニケーションの専門家。著者の指導教授。
この人の話は、よく出てくる。リスクコミニュケーションが、今回のコロナ感染で認識された。
岡部信彦、川崎市安全研究所所長。コロナ感染について、死者が基準であること。非常事態宣言の発出に抵抗示す。
ふーむ。この本を読んでも、どうも、スッキリしない。専門家が迷走している感が強い。まぁ。とりあえず、クラスター対策という日本モデルを確立した。それが、政府によって、居酒屋対策、居酒屋で酒を出さないという方針に矮小化されたことは、よくわかった。
何れにしても、政府は自分の都合のことしか専門家会議の意見を聞かないということなので、結局は、コロナ感染のダラダラ感染の主犯は、政府であり、共犯者は「専門家会議」ということになるのでしょうね。なんら、権限がないところで、あれこれ言っても、実行されない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 医療/薬草/漢方
感想投稿日 : 2021年8月4日
読了日 : 2021年8月4日
本棚登録日 : 2021年8月4日

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