実践論・矛盾論 (1957年) (岩波文庫)

  • 1957年5月6日発売
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感想 : 3
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最初は「なんか”空想から科学へ”の焼き直しじゃないか」と思っていたのですが、エンゲルスやレーニンの理論を深化させ、より的確に発達させたものであると感じた。

ただ彼は、国際政治立場上の関係なのか、スターリンを礼賛し、トロツキーを「間違った思想家」としている。しかし私は過去にトロツキーの「永続革命論」を読んだことがあるが、正直この「実践論・矛盾論」を読むかぎりでは、毛沢東の思想はトロツキー主義に近いと感じた。読めば分かるが、「理論に固執し続けることなく、状況を客観的に分析し、最善の策を講ずることが重要」なのである。トロツキーは「スターリンは古典的な二段階革命を国民党に押し付けようとしているが、中国ではブルジョワジーが革命を起こすことはない。共産党率いるプロレタリアートが革命を起こすことができる。」と説いた。どこにでも二段階革命論を押し付けるスターリンが、「客観的に分析」できているのか、疑問に思った。
実際、毛沢東は中華人民共和国を成立させているので、ある意味でトロツキーの考えは当たった。

この本を読む前に、「空想より科学へ」を読むことをお勧めする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2009年10月13日
読了日 : 2009年10月13日
本棚登録日 : 2009年10月13日

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