きみが住む星 (角川文庫 い 58-3)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング (2008年6月25日発売)
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感想 : 42
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男は旅先から、故郷に残した恋人に手紙を送る。こういう形で、ぼくはきみへの思いを伝える―。

恋人を日本に残してアジアを一人旅してたとき、感動的な風景、面白い出来事に出会うたび、「君にも見せたい」と思った気持のあたたかさを思い出した。
それは、今自分がたっている見知らぬ世界にその人の面影をみることでもあったし、
同時に、自分がその人といた世界と、今自分がたっている世界の確かな繋がりを感じることでもあった。
旅先で感じた葛藤や違和感、怒りや悲しみ、学術的な思考の巡りは、その瞬間だけは身をひそめて、世界はとても優しく、不思議な丸みを帯びて在った。
友人、家族とはまた違った愛情の形を胸に抱いてなければ、この風景は見えなかったかな…とふとおもった、その気持ち。青いけれどたぶん、大事にしなければいけない感覚。

あの地平線が輝くのはどこかに君を隠しているから、という歌詞もありますが、
遠く離れたところに君を残すことで、すべての美しい風景に君の面影を見る…
寂しいし不安なことだけれど、愛を豊かにはすると思う。一緒に旅して経験を共有するのも勿論楽しいけど、また違ったものが見えるから。
旅しなければいけない理由はひとそれぞれですが、それが逃避でないなら、きっと離れても大丈夫。


補正や効果を多用していない写真たちが、実直な視線を感じさせてまた素敵。
一人旅好きで恋人に渋い顔をされる方から、いつも恋人と一緒にいる方まで、幅広くメッセージがこめられる贈り物になるかと思います。

私は今後もきっと、愛するひとができても旅をするだろうと思うので、今度は必ず手紙を書くよ。そして文末には必ず、「バイバイ」ですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本小説
感想投稿日 : 2012年2月1日
読了日 : 2012年2月1日
本棚登録日 : 2012年1月10日

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