【本の内容】
彼女は鞄を作る父の背中が好きだった。
だだだ、だだだ、というミシンの音が「父の音」だった。
やがて、家庭に安住できない父は家を出、亡くなった。
大人になり、息子をもうけた彼女には既に母もなく、どこかで暮らす同じ「掌」をした異母兄だけがいた…。
やがて、彼女は父と同じ鞄作りを始める―。
家族、愛、人生の意味を問う第6回小説新潮長篇新人賞受賞作。
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細かく描写しているのに、説明を読んでいるような不思議な文章。
筆者が脚本を書いていたことと関係あるのだろう。
主人公、麻子は自らの父が放蕩な人間であったことが災いし、うまく家庭をつくれなくなっていく。
だが父から受け継いだ鞄作りの才能や、父の苗字にこだわってしまう。
父を愛しながら家庭を信じられなかった女性が、迷走しながら終に幸せを掴むまでの長い道のりは胸にずしんと来る。
終盤、おなじく家庭をつくれなかった友人が狂ってしまうくだりが凄い。
しかし、文章があっさりしすぎているせいでどうしてもドライな印象を受けてしまうのが残念。
読めば乾いた話でないことはわかるのだが、心情描写が荒いせいで共感しにくい。
台本を読んでいる感覚に近かった。
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[ 関連図書 ]
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- 感想投稿日 : 2014年8月29日
- 読了日 : 2014年8月29日
- 本棚登録日 : 2014年8月29日
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