米中もし戦わば

  • 文藝春秋 (2016年11月29日発売)
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発刊から数年が経過しているが中国の軍拡と海洋侵略は衰えを見せていない。民間漁船に扮して軍事作戦を取り、サイバー攻撃で技術を盗み、製造業の技術移転を強制し、国際法も人権も無視する、まさに現代人にとっての悪以外の何ものでもない。国がそのような犯罪に手を染めているとは、ロシアも含めてテロリスト集団と変わらない有様だが、そんな国が常任理事国となっている時点で国連は形骸化しているし世界平和には程遠い未来しかない。WTO加盟以来急速に経済を発展させ裕福な中間層が増えたが、予想に反して武力で現状変更しようとする独裁国家は言論統制をさらに強化し、知的エリートである共青団を2022年の人事で排除し、特権世襲層の太子党がポストを独占、今や億万長者の民間人をも弾圧し始めているのが現状である。海洋進出についてはエネルギーの輸入依存が背景にあり、米軍のアジアでのプレゼンス低減を明らかに狙っているが、空母や基地のミサイル攻撃への脆弱性は素人でも分かる安全保障の問題。海上封鎖を想定した機雷や潜水艦の増強、航空機の増大と補給の格納化は喫緊の問題であること間違いなし。ただ本書で不可解だった点としては、軍が中央集権化されていて前線での裁量が認められいないことから部隊の暴走リスクは低いのか、それとも統制が実際は取れてなくて末端までのコントロールが難しい状況なのか、といった点。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年2月28日
読了日 : 2023年2月28日
本棚登録日 : 2023年2月19日

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