NUM-HEAVYMETALLIC

アーティスト : ナンバーガール 
制作 : 向井秀徳 
  • EMIミュージック・ジャパン (2002年4月25日発売)
3.57
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本棚登録 : 467
感想 : 50
4

1995年結成の福岡出身男女4人組ガレージパンクバンド、ナンバーガールの3rdアルバムは、ジェーンズ・アディクション、マーキュリー・レヴや、グループのシングル(「ディストラクション・ベイビー」、「URBAN GUITAR SAYONARA」)を手がけた、デイヴ・フリッドマンをプロデューサーに迎えてアメリカ録音を敢行。
向井秀徳の絶叫から始まり、民謡風メロディやメタリックなドラムが重なる<1>、切り裂くようなギターカッティングや、現代社会=<冷凍都市>の風刺が強烈な第6弾シングル<3>など、刺激的なサウンドを繰り広げる。(宮原亜矢)
メディア掲載レビューほか
1曲目にはびっくり。あまりに直接的な日本民謡咀嚼を経ての、ダビーなロック曲で。らしい、と言えばあまりにらしいメジャー3作目。曲調、リズム、歌い方など、幅は広がる。ひりひりする感覚と醒めた感覚が、獰猛な音像とともに、思うままあふれ出る。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)

いきなりの咆哮に続きダビーに打ち鳴らされるドラムスとキラキラ輝くメタリックなギターのリフに乗って、八木節をモティーフにしたかのようなあらエッサッサーな日本民謡風メロディが紡がれてゆくオープニングのアルバム・タイトル曲が、農民一揆の如き土俗パワーをぶちまけており大変興味深い。前作『SAPPUKEI』ではそれまでとだいぶ変わったという印象を持ったが、今作はその違いがよりくっきりはっきりしてきたなと、この曲を聴いただけで思ったわけだ。前作に続き今回もまたデイヴ・フリッドマン(マーキュリー・レヴ)のプロデュース/エンジニアリング。ということは本人たちもこの路線が気に入っているのだろう。フリッドマンのプロダクションは、アンサンブルのバースト感を損なうことなく各楽器の爆音の分離を押し進めた(特にボトムと高音部)結果、全体の感触がとてもクリアかつマッシヴになったし、また歌詞も非常に聴きとりやすくなった。くるり同様ナンバーガールの場合は、ほかのバンド以上に歌詞が重要(つまり歌詞が面白く意味深)だから、これは大きなプラス・ポイントだと思う。向井の言葉の隅々に張り巡らされた突き放したような冷めた視線も、クリアな爆音の中で一層冴えわたっているようだ。リズムの組み立て方は今回も多彩であり、またヒップホップ的にたたみかけてゆく歌い方も板についてきた感じ。リズム・パターンやアレンジなどがまるでイエスの『危機』を思わせる全力疾走の(4)も新鮮である。ただ、かつてのように発声がほとんど絶叫調で占められることはなくなったものの、依然、ピクシーズだのソニック・ユースだのスティーヴ・アルビニだのといったアメリカン・ガレージ/グランジに依拠した演奏語法が目立ちすぎることは、個人的には退屈さにつながってしまう。切れがグンと良くなってきただけに、もうちょっと憶えやすい、つまりポップなメロディが増えれば、客層も格段に増えそうな気がするが。 (松山晋也) --- 2002年05月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年7月9日
読了日 : 2017年7月9日
本棚登録日 : 2017年7月9日

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