月下上海

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年6月24日発売)
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本棚登録 : 783
感想 : 131
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暗い過去を秘めた財閥令嬢の美貌のヒロインが、戦時中の上海租界で、画家として活躍する中、陰謀に巻き込まれながらも、恋をしてしなやかに生きて…というドラマチックな作品。

スキャンダルを利用して売れっ子画家にのし上がった勝気で頭も良い美貌の財閥令嬢のヒロイン。
ヒロイン殺害未遂の嫌疑で日本を追われたヒロインの元夫で日仏ハーフの美貌のピアニスト。
ある目的からヒロインに近づき利用しようとする上海憲兵所属の美男スパイ。
ヒロインと恋に落ちる、国を憂える中国人の大富豪…などなど。

異国情緒とレトロ感たっぷりの上海租界という舞台設定のなかで、煌びやかで絵になる登場人物たちの恋愛を絡ませながら、展開も速いし、適度なペースで見せ場が挟み込まれているしで、楽しく読めました。

ただ、戦時下のスパイ行為ということで、ミステリーやサスペンスの土台があるのかなと思ったら、そちらはちょっと骨組みが弱いというか、あっさりしすぎているというか、期待してしまうと肩透かしの出来ですね。

財閥令嬢の波乱万丈な人生と恋を楽しむメロドラマとして楽しむための作品としてはいいです。

でも、華やかで見栄えもいいし、起承転結もスッキリしてコンパクトな作りなので、そのまま二夜連続スペシャルドラマとかに出来そうな感じです。

上海の街やヒロインの豪華なファッション、アクセサリーなどの描写も細かく優れているので、まさに映像化向きな作品ですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2017年6月27日
読了日 : 2017年6月27日
本棚登録日 : 2017年6月27日

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