日本の仏教の入門書ですが、著者はインド仏教の専門家ということもあり、日本仏教が本来のインド仏教からへだたってしまったことについて、くわしく解説しています。また、日本仏教が形式主義に堕してしまっているという、厳しい批判も見られます。
本書でおこなわれているように、インド仏教からの偏差を見ることも重要ですが、そこに日本人の信仰のありかたを認め、その内実を知るということも、おなじくらい重要なことだと考えます。日本思想史の畑で日本仏教についての研究をおこなっている末木文美士の仕事が、専門家だけでなく一般の読書人のあいだでも広く知られるようになっている現在から見ると、著者の態度はすこし教条的なのではないかという気もします。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
宗教
- 感想投稿日 : 2015年7月12日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年7月12日
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