オイル・ショック以降の世界不況を分析し、とくに南北問題との関連について考察をおこなっている本です。
著者は、オイル・ショック後の世界が陥った不況を、1930年代の世界恐慌と重ね合わせるレスター・サローらの見方に対して、むしろ二つの不況の違いに注目するべきだと主張します。そうした見方をとることで、世界が直面しているスタグフレーションの解決に、もはやケインズ主義的な処方箋が有効ではありえないことを論じています。
さらに、先進国から産油国に渡ったオイル・ダラーが先進国の民間銀行に還流し、発展途上国が投資先とされる流れの中で、南北問題が今後ますます深刻化する可能性があることを明らかにしています。
本書の刊行時にはアクチュアルな問題を扱った本だったのだと思いますが、最近経済史に興味を持つようになったこともあって、おもしろく読みました。最後の方は議論が拡散しすぎてややまとまりが悪い印象を受けますが、その後のグローバル経済への動きや、日本経済の陥った平成の大不況などへの動向もうかがうことができるように思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
政治・経済・社会
- 感想投稿日 : 2015年2月4日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年2月4日
みんなの感想をみる