芥川龍之介の評伝です。
本書でも言及されている吉田精一の名著『芥川龍之介』をはじめ、芥川の評伝はけっして少なくありませんが、本書は簡潔な新書の体裁でありながら、著者自身の新しい研究成果も盛り込まれており、興味深く読みました。
かつては、プロレタリア文学と芸術至上主義の対立という枠組みの中で芥川の位置づけがなされることがあり、著者はそうした解釈を乗り越えて、芥川の作品の時代を超えた魅力を示そうとしています。かつて唐木順三によって、時代状況とのかかわりの中で芥川の作品が意義と限界が指摘されたことがありましたが、そうした評価を打ち破るような芥川像を本書が提出できているのか、疑問なしとしません。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学研究・批評
- 感想投稿日 : 2016年1月8日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2016年1月8日
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