新書版の民法入門ということで、現代社会のアクチュアルな問題を題材に取って民法の観点からどのように考えるのかということを分かりやすく解説している本を期待したのですが、案に相違してかなりヘヴィーな内容でした。法哲学ないし法制史の観点から、「公と私」や「市民社会」といった概念を洗い、私たちの社会において民法の持つべき役割について考察しています。
民法の理念についての概念史的な検討をおこなうに際して、著者はしばしば専門家ではないので十分にフォローできないとエクスキューズをおこなっていますが、とはいっても学者としての良心なのでしょうか、新書本の中で簡単に取り上げるには不釣り合いなほど、突っ込んだ議論に踏み込んでいます。ただやはり、こうした議論をおこなうのであれば、「民法のすすめ」というタイトルを持つ新書という場所はあまりふさわしくなかったのではないかという気がしてしまいます。
おそらく優れた内容を持つ本なのだろうとは思うのですが、未消化のまま読み終えてしまうことになりました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
法律
- 感想投稿日 : 2017年3月8日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2017年3月8日
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