ユビキタス・コンピュータ革命: 次世代社会の世界標準 (角川oneテーマ21 C 44)

著者 :
  • KADOKAWA (2002年6月1日発売)
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感想 : 13
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「ユビキタス・コンピューティング」の概要と、それが実現する新しい社会の姿を描き出した本です。

本書の刊行から10年以上が経ち、携帯電話を始めとするさまざまなコンピュータがつながり合った社会が実現されたように思えます。ただし著者によれば、「モバイル+ブロードバンド+α」という形の「ユビキタス・ネットワーク」と、本来の「ユビキタス・コンピュータ」とは少し意味が違うとのこと。携帯電話がネットワークへの窓口の役割を果たすということに限定されるのではなく、もっとユーザの目に見えないところでコンピュータどうしがリンクしているようなあり方が考えられているようです。これに関して著者は、「これからのコンピュータは陰に隠れて見えなくなる」という、マーク・ワイザーの言葉を引用しています。

ただし、著者の専門から考えてやむをえないのかもしれませんが、本書では技術面からユビキタス・コンピューティングの実現された未来の姿が描かれており、その社会的影響についての詳しい説明はありません。たとえば、本書の第2章の冒頭にローレンス・レッシグの『CODE』からの引用が置かれていますが、本書で検討されているのはコンピュータ犯罪とその対策という、もっぱら技術的な側面にすぎません。もっとも、本書の著者にそうした説明を期待するのは、「ないものねだり」でしかないのかもしれませんが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コンピュータ
感想投稿日 : 2014年7月2日
読了日 : -
本棚登録日 : 2014年7月2日

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