小説形式の倫理学入門です。主人公の大学教授のもとに、かつてこの大学院で哲学を学び、現在は刑事になっている清水という男がやってきます。同じ学部の長嶋教授が失踪し、さらに彼が殺されたという通報があったというのです。
その後、主人公のかつての教え子で現在は雑誌記者をしている中田葉子や、助手の元木などが教授の部屋を訪れ、不倫や民主主義、環境問題といった、倫理学上の諸問題について議論を交わします。
ミステリとしての展開に主人公が絡むというわけではなく、最後は失踪事件の真相が天下り式にもたらされることになるので、小説として読むと拍子抜けに感じてしまうかもしれません。当たりまえといえば当たりまえですが、親しみやすい形式の倫理学の入門書として読むべきでしょう。冨田恭彦が同じような小説形式の哲学入門を刊行していますが、そちらと比べると、本書には大学という場所に対するややシニカルな雰囲気が感じられる印象があります。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
哲学・思想
- 感想投稿日 : 2015年11月27日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年11月27日
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