創竜伝(4)四兄弟脱出行 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1994年8月1日発売)
3.47
  • (59)
  • (54)
  • (230)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 888
感想 : 24
3

今回は、ついに長兄の始が竜として覚醒します。

レディLは日本の首相をけしかけて四兄弟を捕らえようとするも、まったく役に立たず、アメリカ最大の原子力空母「覇王」(ダイナスト)で警察の追跡から逃げる四兄弟のもとに現われます。ところが、事態は彼女の思惑とは違った方向へと進んでいくことになります。艦内の軍事科学者クランショーが中性子爆弾のスイッチを入れてしまったのです。始は爆弾を抱えて沖合へ向かって泳いでいきます。やがて爆発が起こって、レディLは辛うじて生き延びていた始の身体を回収します。

始の身体は半ば竜と化していました。彼はみずからの精神力で、制御の効かない竜の姿になることを抑えたのでした。そこへ、彼の身体の解剖を希望していた田母沢が姿を現わし、始の眼球にメスを入れます。そのときついに始が青竜へと姿を変え、重力を自在に操って覇王を空中へと運び、ソ連の上空からアラスカへ抜けて、アメリカへと向かいます。

一方続たち3人は首相官邸を訪れ、自衛隊の輸送機を入手します。茉理と、やはり首相官邸に現われた水地真彦、虹川耕平、蜃海三郎、そして犬の松永良彦君も加わって、青竜のもとへと向かいます。しかし、テロ対策特殊部隊が彼らを追って輸送機に乗り込み、空中でコントロール不能に陥ってしまったため、続たちは竜に変身して茉理たちをアメリカの地へと運んでいきます。

ストーリーは今後、人類だけではなく、四人姉妹の背後にいる神々をも巻き込んでの戦いに突入していくらしく、しかも殷周革命以来の壮大な歴史的背景が控えているようです。スケールの大きさにややたじろいでしまいそうになりますが、ともあれこれだけ大掛かりな話をどうやってまとめ上げていくのか期待したいところです。

今回の「巻末対談」で著者の相手を務めるのは、漫画家の藤田和日郎です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の小説・エッセイ
感想投稿日 : 2016年8月23日
読了日 : -
本棚登録日 : 2016年8月23日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする