武蔵は、下総の法典ヶ原の小屋に住み、彼に弟子入りを申し出た伊織という少年とともに、荒野の開墾をはじめます。はじめは彼のすることを冷ややかなまなざしでながめていた村人たちは、山賊の襲撃から武蔵が人びとを守ってくれたことで彼に信頼を寄せるようになります。
一方お通は、柳生宗矩の甥の兵庫のもとに身を寄せており、彼女の武蔵に対する想いを知っている兵庫は、二人の仲を案じますが、石舟斎が危篤であるという知らせを受けて、お通は武蔵に会うことのかなわないまま、江戸を去っていきます。
小次郎は、軍学者の小幡勘兵衛の弟子たちの恨みを買いますが、北条新蔵をはじめとする門人たちのなかに剣の腕で小次郎にかなう者はなく、返り討ちとなります。他方の武蔵は、無法者たちの挑発を受けながらも、あえて剣をとることなく、世間の悪口雑言には耳を貸さずにみずからの信じる道をひたすら突き進んでいきます。
武蔵と小次郎の人物像の対比があざやかで、両者の人間としての器の大きさのちがいがいよいよ明確になります。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2022年1月29日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2022年1月29日
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