道祖土家の猿嫁 (講談社文庫 は 48-1)

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  • 講談社 (2003年1月1日発売)
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自由民権運動が盛んだった明治時代、火振村の地主の道祖土家に嫁いだ蕗(ふき)の一代記。終章は、彼女の33回忌に曾孫の十緒子が道祖土家を再訪するところまでを描いています。

道祖土清重のもとに猿そっくりの顔をした蕗が嫁いでまもなく、義姉の蔦が私生児を産むという事件が起こります。家長の治之進は、秋英と名づけられたその子を、清重と蕗の子として育てることに決めます。若い頃は民権運動にかぶれていた清重も村長となり、秋英の下に春乃、俊介、保夫という子を授かります。しかし、秋英は家を飛び出し、俊介は若くして死に、三男の保夫が家を継ぐことになります。

終戦の日まで小国民だった保夫の子の篤は、洋子という妻を得て十緒子を授かりますが、やがて洋子の浮気によって離婚し、十緒子はこの家を離れることになります。蕗は、そんな彼らの姿を見守り続け、波乱に満ちた人生に幕を下ろします。

明治以降の100年に日本が歩んだ激動の歴史を、田舎の名家に嫁いだ蕗という女性の視点から見ていくことで、土着的な変わらないものが浮き彫りにされているように思えました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の小説・エッセイ
感想投稿日 : 2014年9月4日
読了日 : -
本棚登録日 : 2014年9月4日

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