科学的世界観の限界を見据えようとした批評家の小林秀雄の思索に寄り添いながら、人間の脳の働きによって、サンタクロースのような仮想が生じることの不思議さを語ったエッセイです。なお、本書でいう仮想には、過去の記憶や他者の心に関する理解なども含まれます。
すでに著者のクオリアについての議論に触れたことのある読者にとっては、それほど目新しい内容は見当たらないかもしれません。とはいえ、個人的には、問題の不思議さを比較的読みやすいエッセイの形で軽やかに論じているところに、脳科学者でありながら文学的なセンスを持ち合わせている著者の才能を感じました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
数学・科学・技術
- 感想投稿日 : 2014年10月29日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2014年10月29日
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