ウェブ人間論 (新潮新書 193)

  • 新潮社 (2006年12月14日発売)
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『ウェブ進化論』(ちくま新書)の著者である梅田夫望と、『日蝕』『葬送』(ともに新潮文庫)などで知られる小説家の平野啓一郎が、ウェブ世界の可能性とそれにともなう人間観の変化について語った本です。

両者とも、インターネットのもつインパクトの大きさを認めながらも、人間の理解については異なった意見をもっており、そのことは「おわりに」で梅田が次のような的確な表現で述べています。「私はむしろ「社会変化とは否応もなく巨大であるゆえ、変化は不可避との前提で、個はいかにサバイバルすべきか」を最優先に考える。……「社会の変容」への対応という視点から「個の変容」をとらえようとする傾向が強い。しかし平野さんは「人間一人ひとりのディテールをミクロに見つめること」によって「個の変容」を考え、その集積として「社会の変容」を考えようとする」。

とくに、実名でネット社会をわたり、そこでの反響をビジネスにつなげていくたくましい「個」と、匿名でネット上にことばをつむいでいくことでみずからのアイデンティティのオルタナティヴな可能性を発見する「個」のあり方がテーマになった第2章が、読み応えがあるように感じました。

対談本ではありますが、インターネットの急速な発展による「人間」の変化が本質的なレヴェルで論じられており、おもしろく読むことができました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コンピュータ
感想投稿日 : 2019年6月11日
読了日 : -
本棚登録日 : 2019年6月11日

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